プロモーションの課題と感情のマネジメント

吉田です。


日立の渡辺薫さんとのリレーブログ、『実務者が語るマネジャーの仕事』の記事として投稿します。


参考:『マネジメントの目的:プロモーション


人は誰でも、自分は、この世に生まれてきた "価値がある" 人間であることを認めたいという欲求を持って生きているものです。また、この "価値がある" 人間であることを他者からも認められたいという気持ちも、誰もが持つものです。


他者から認められることは、気持ちの良いことでもあります。自分が得意であることを颯爽とこなして、人からも認められる。こんなことが続いたら、きっと毎日を清々しく過ごすことができるでしょう。


ところが、マネジャーになると、この「気持ちの良い」、「最も人から承認されやすい」、自ら成果を上げるということを手放さなければならない部分が多くあります。成果は、チームがあげる。そして、マネジャーは、チームが成果をあげるステージをいかに用意し、サポートするのかが仕事だからです。


参考:『マネジメントの目的:成果



ところで、このような役割の変化が起きた時の、自分の気持ちを正直にのぞいてみたことのある方は、どのくらいいらっしゃるでしょうか。

自分の方がもっとうまくできる。

自分だったらもっと早くできる。


メンバーの仕事のやり方が気になると同時に、このような感情が湧いてくることもあるでしょう。


また、もっと ”素直な気持ち” になってみると、仕事を自分の手でやり遂げて、賞賛を自分個人が受けることが少なくなっていくことを、寂しく感じることもあるかもしれません。


自己の有能さは、多くの場合、誰かとの比較の上で認知しやすくなります。


こう考えてみると、人が当たり前にもつ「価値のある人間でありたい」という欲求が、とてもたやすく(無意識であったとしても)、「部下へのダメ出し」に繋がっていくのは、お判りいただけるのではないでしょうか。


しかし、マネジャーが向かうべき方向性は、「部下が十分に育ったので、もう自分がいなくても大丈夫」というステージです。


とても大切なことは、自分自身がマネジャーになった時に、この役割の転換が明らかに起きていることを認知することです。


階層別研修という場に於いて、多くの企業ではそのような教育を行なっているでしょう。また、人事制度の中でも、日本企業が多く取り入れている職能資格制度の定義の中に求められる能力の定義が書かれていることと思います。


参考:『職能資格制度


しかし、ここが多くの企業の現状の課題なのですが、職能資格制度は、職務を遂行する能力によって等級が定義づけられているため、現在の職務に対する定義が曖昧になります。その人本人のスキルや能力が高く評価された結果、等級も上がり、役割も変わるわけですが、職務として、どのような違いがあるのかが明瞭にされないまま、肩書きだけが変わることも多くあります。その結果、成果を出して認められ、昇給してきた方々は、マネジメントという仕事の目的に戸惑い、自らが、引き続き成果をあげることに邁進してしまうこともあるように見受けられます。


自分自身が成果を出す

 ことと

チームに成果を出させる

 こと。


現在の日本企業では、会社の仕組み上、この辺りが曖昧である、あるいは、明確にそしてタイムリーに伝えられていないことは多いものの、マネジャーになった時には、この目的の変化を何度も反芻していただくことが、結果として、マネジャー自身の大きな成果に繋がります。


そして、その次に大切なことが、冒頭にも申し上げたような、自らの感情のマネジメントです。


部下へのダメ出しをしたくなった自分の気持ちが起きた時、まずは、その感情を認知することが重要です。


そして、気持ちを引き起こしているものは何かを考えてみましょう。


感情は、自分の望みを知らせてくれます。


その望みが叶っていなければ、ネガティブな感情が起きます。

ネガティブな感情を引き起こしているものを、以下の2つの視点で考えてみることをオススメします。


  1. 今、実現していない、望ましい状態はどのような状態なのだろうか

  2. ネガティブな感情が取り除かれた時には、どのような状態になっているのか


もし、それが「もっと成果を出したい」というようなことだった場合は、その求められている「成果」の定義が、かつての自分と、今の自分とがどのように違ってきているかを、また、目的に立ち返って考えてみることが必要でしょう。


目的に立ち返り、チームに成果を上げさせることに努力を続けること。これは自らが成果をあげるより、数倍難しく、その難しさへのチャレンジに意欲と自己の成長を感じられるようになるはずです。

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