マネジャー教育とその難しさ

吉田です。


今日は、日立の渡辺薫さんとのリレーブログ、『実務者が語るマネジャーの仕事』の記事として投稿します。


参考:『マネジメントの目的:成果


マネジャーとして成果を上げていくために、トレーニングを行なって欲しいというご要望はジョイワークスにも多く寄せられます。では、マネジャーにはどのようなスキルや能力が必要なのでしょうか。


ある人は、部下の話を聞き、モチベーションを上げるコーチングのスキルが必要だと言います。

ある人は、戦略を立てる能力とそれを裏付ける経験が必要だと言います。

ある人は、人を巻き込むようなエネルギーが必要だと言います。

おそらく、マネジャーの能力やスキルを一つひとつ上げていったら、キリないほど上がっていくでしょう。なぜなら、マネジャーの実務は、そのくらい多様で、そのくらい幅広いからです。


では、多様で幅広い実務を行うマネジャーは、どのように学習していけば良いのでしょうか。


学習には、様々な方法があります。


私たちにも馴染み深い学校教育は、近年では、アクティブラーニングというようなことが盛んに言われ、少しずつ変化してきてはいますが、先生が教壇に立ち、生徒は講義を聞くというスタイルは、今でも主要な学校教育のスタイルです。これを知識付与型の学習と呼ぶことにします。


では、知識付与型の学習のみが私たちが学びを得る方法なのか・・と言えば、決してそうではありません。


みなさんが、一番学びが大きかったときを思い出してみてください。


多くの場合、私たちは、経験を通じて、様々なことを学びます。


苦しいプロジェクトをやりきった時、プロジェクトを経験する前と後を比べれば、知見の広さが変わっていることにご自身でも気づくでしょう。


そのような "大ごと" でなくても、初めての取引先と契約を結ぶプロセスからも、初めて部下を持った時にも、あるいは、マネジャーになって初めて長期休暇を取ろうとおもったときも、私たちは、その経験を通じて多くのことを学びます。


経験行動学者のデービッド・コルブ(1984)は、知識付与型の学習と区別して、経験から学ぶプロセスを経験学習モデルとしてモデル化しています。





この経験学習モデルの鍵は、【振り返り(省察)】です。


振り返りを行うことで、具体的な経験を、「つまり、こういうことだったのだ・・」という概念として言語化することができます。


いえ、「できます」と書きましたが、正直に言えば、1回振り返れば、概念化ができるのかと言えば、決してそうではありません。論理的に構造化したり、クリティカルに問いかけたり、そして、(ここがとても重要ですが)すっきりと解明されないことに疑問を持ち続け、探究的に新たな学習を行ってはじめて、本当の概念化が叶います。


マネジャーは多様な経験を日々繰り返しています。だからこそ、経験を振り返り、そこから学習し、また新たに手に入れるべき、知識やスキル、経験などを明確にすることができます。それにより、マネジャー自身の判断が変わり、行動が変容します。多様な任務をこなすからこそ、経験学習が進みますし、マネジャーの仕事の質に効果のある学習が叶うという好循環が生まれるのです。


つまり、振り返りを通じて、自らに向けた「問い」を生み出すこと、そして、その結果学習のニーズが焦点化されて行くこと。これが、学びと実践を結びつけて行くために、とても重要であり、効果的なのです。


しかし、ここで大きな問題があります。


マネジャーは、【忙しい】のです。


ただでさえ目の前に仕事が積み重なっているにも関わらず、下手をすると何も生み出していないかのように見える「振り返って考える」という時間を持つというのは、決意のいることかもしれません。


マネジャーの育成を考えるとき、このジレンマを解消する必要があります。


変化の激しい時代において、マネジャーは多くのことを学び続ける必要があります。その時に、第一に用意しなければならないものは、マネジャーが振り返り、考える時間です。最も有効なのは、マネジャー自身が自分のカレンダーに、そのような時間を先に入れてしまうことでしょう。


目の前のタスクから離れて、自らの態度、自らの行動、それによって引き起こされていること、自らが直接的に関わっていないことの中で起きていること・・・様々な視点で振り返り、構造化し、学習し、次のステップを考える。


これを一人ですることも大切ですが、様々な人と共に対話することを通じて振り返ることも非常に有効です。最初は短い時間でも構いませんので、ルーティン化するために、何名かで振り返る時間をスケジュールすることをオススメします。


このような振り返りにより、自分が前提としていること、当たり前だと思っていることにも問いを持つことができ、また、自分自身の経験を体系化することで、知恵としてチームに提供して行くことも可能になります。結果として、マネジャーは次のステージに上がることができるのではないでしょうか。


チームに成果を上げさせること


私も、今週の前半を今日の夜、振り返ってみたいと思います。

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