仕事を遂行する上で必要十分な知識(その1)

チームが「仕事を遂行する上で必要十分な知識」を有していることが重要であることを否定するマネージャーは(おそらく)いないと思います。しかしながら実際の現場には、チーム(部下)が必要十分な知識を習得することを阻害する要素や、マネージャーの言動が多数見受けられます。


「自分の頭で考えろ」

「現状にとらわれず、あるべき姿をゼロベースで考えろ」

「人のマネをするな」

「おまえらしい仕事をしてみせろ」

「他の人がやっていないことをしろ」


こういう言葉は日常的に聞かれますが、これに比べて知識の習得を奨励するようなマネージャーの言動は、ごくわずかなのではないかと思われます。

私が周囲のマネージャーやメンバーに良く問いかける質問があります。


何らかの課題解決(たとえば過剰在庫、納期遅延、欠品、残業、人材育成等)に取り組む際の最初の質問は、


「その課題に取り組むのは、世界で『あなたが初めて』だと思いますか?」

「その課題に取り組むのは、わが社で『あなたが初めて』だと思いますか?」


です。


この質問に対して、いまだかって「YES」という返事を聞いたことはありません。


そして、次に、こんな質問をします。


「あなたは、その課題の解決策として、いまだに誰も(世界中で、もしくはわが社で)考え出したことの無い、とっても優れた(過去に考え出されたもの以上に効果的な)解決策を、独自に考え出すことができると思いますか?」


この質問に対しても、いまだかって「YES」という返事を聞いたことはありません。


*ここで「独自に」というのは、「様々な情報収集(市場、競合他社、類似事例)を行わず、課題解決や事業開発の手法も学ばずに、全て自分の頭で考えて」という意味です。


**二つ目の質問に「YES」と答えられるような『天才』がいるだろうことを否定するつもりはありません。私がお話したいのは、そうした『天才』がいない、私たちの日常での仕事の進めかたです。


先の二つの質問に対する答えが「NO」の場合、望ましい進めかたは「多数の先行事例(成功、失敗の両方)を調べ、現在私たちが直面している課題の解決に最も相応しい解決策のオプションを選択し、私たちの環境に合うように工夫しながら実行する」ことになるはずです。しかしながら、こうした行動を率先して実行するメンバーや、積極的に推奨するマネージャーは、とても少ないのではないかと思っています。


病気の治療に関しても状況は同じだと思います。臨床医が行っていることは、

  1. 過去の臨床例に基づき、患者の症状の原因(病気)を特定し、

  2. その病気に効果があることが実証されている治療法のオプションを選択し、

  3. 目の前の患者の状況に合わせて、その治療法を実行する

だと思います。


医者、弁護士、会計士、研究者、ほとんどのプロフェッショナルの仕事は、こうした地道な努力の積み重ねだと思います。そして本当に斬新な、画期的な、新たな解決策というのは、こうした地道な努力の積み重ねをしても、どうしても解決できない課題に直面したときや、数え切れないほどの実践と工夫を積み重ねたときに初めて生み出されるのだと思います。

私たちの多くは(少なくとも私は)天才ではありません。


であればこそ、自分の頭だけで考えるのではなく、多数の先行事例などを十分に調査し、「仕事を遂行する上で必要十分な知識」を習得する努力を怠るべきではありません。


先に「成果=目的の理解×知識×能力」という考え方を提示しました。


「チームに成果をあげさせること」を実現するために、マネージャーはチームに対して、

「仕事を遂行する上で必要十分な知識」を習得するよう、明確な動機付けを行い、かつその行動を奨励するべきだと、私は考えています。もちろんマネージャー自身も「仕事を遂行する上で必要十分な知識」を習得することに率先して取り組むべきであることは言うまでもありません。

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