変化を起こし、変え続けながら守る

ジョイワークスでは、2019年4月に【建設業の社長限定プログラム】「なぜ部下は思ったように動いてくれないのか?」~社長が描く組織を作れない理由とその解決策~ を開催しました。

創業110周年の節目を迎えた西田工業株式会社の西田社長がご参加くださいました。研修のようすと建設会社経営のお話を伺いました。


西田工業株式会社 / 西田吉宏氏

社長同士が本音で語れる貴重な場

J(ジョイワークス):建設業社長限定研修の場、西田さんにとってどんな印象でしたか?


N(西田さん):普通に生活していたらなかなか出会うことのない場だなと思いました。よその社長と本音の話をする機会というのは少ないので。

同じ地域の仲良くしている社長もいらっしゃいますけど、「最近どうですか?」くらいの世間話はしても、深く入り込む話はなかなかないですよね。今回の研修では、言える環境を作ってくださって、しかもそういった内情を開示するようなワークが用意されていて(笑)。そのおかげで自分の会社をさらけ出して話をすることができました。楽しかったし、いろんな話が聞けて、井の中の蛙にならないことを意識する事ができました。



J:研修の企画時点では社長+右腕役員のセットで参加してもらおうかとも思っていたのですが、社長がまず安心して話せる場が必要だと思って「社長限定」にしました。とはいえ、本当に安心して、率直にお話しいただけるかなというのは少し心配していたんです。正直、あそこまでオープンに、皆さん話していただいて驚いたくらいでした。


N:参加者の方が全く知らない方ではなくて、どこかでお会いしたことがある方だったことや、まったく同じエリアの競合する会社ではないという絶妙な距離感だったので話せたのかもしれませんね。



J:もう一つ特徴的だったのは、若い社長に変わったばかり、または変わってからそれほど長い時間が経っていない方々が多かったことだと思いますが、参加されている西田さんとしてはどんな実感がありましたか?


N:共感できる部分と、まったく異なる部分が両方あって面白かったですね。会社って、どうしても社長や今まで築いてきた文化の色が出るんだな、と。若い社長がその色を一生懸命変えている最中であったり、引き継いで守っていても少しずつ社長の色がにじみ出ているところだったり、という印象を持ちました。


頭の中にしかなかった考えを明確にできた事が収穫

J:研修への期待はどんな事でしたか?


N:「なぜ部下は思うように動いてくれないのか」という、社内的には参加するという話をしにくいセミナー名だったわけですけど(笑)、私が社長に就任し、新たに理念、ビジョンを制定したのですが、そういうものは作って終わりではない。 やれっていうだけで会社がよくなるわけではないんですよね。社内に会社をよくしたいと思っている人が多いのはもちろん良いことなのですが、どこかで何も変えずに、変わらずによくなってほしいと思っている人が多い一面も感じていました。会社がよくなるためには自分も、それぞれの社員も変わっていかなければならないのに、なかなか皆でそういう思いを持って動けないことにもどかしさを感じていました。何かヒントがあればな、という期待がありました。



J:なるほど!ほんとにその通りですね。よくなってほしいけど変わりたくない。よくなるというのは変化そのものなのに。


N:何かやらないと変わらない、やり続けないと変わらないんです。何かすればよくも悪くも変わることがあります。悪く変わった部分は元に戻すなどしながらやり続ける・変え続けることがよくなることにつながるんだと考えています。


J:研修の場で得たものってありましたか?覚えてます?


N:4コマストーリーを書いて、「二手先を考える」というのは実感を伴って覚えてますね。「ゴースト」とか「エッジ」という話も印象に残っています。


結局、可視化することが大切なんだなと思うんです。誰しも頭の中で様々なことを考えているけど、考えているだけではすべてが不明確な状態です。言葉にする、文章にする、図にすることで初めて明確になるんです。研修の中でも組織図を使ったり、様々なワークを通して普段頭の中だけで考えていた不明確な問題や課題を、明確にできたというのは大きな収穫でした。


挑戦を続けることで見えてきた「地域のつながり」

J:西田工業さんは、新しい取り組みにもたくさんチャレンジされている印象なのですが、意識して挑戦されていることって何ですか?


N:機会があれば、できることは何でもやりたいという思いがあります。やってみてわかることも正直あるものだなと感じています。大阪中津の本店ビルの中にCreativeQuarterNakatsuという場を作りました。もともとはシェアオフィスとして賃貸収入が上がっていくことを意図していたのですが、実際にやってみると、それよりも「地域のつながり」が得られているんです。これが大きな資産だと思っています。


これまで70年以上同じ場所に事業所を置いていたのですが地域とのつながりは全然なかった。普通に仕事だけしている分にはそれでも問題ないのですが、これから先のことをよくよく考えると、地域とのつながりを意識することがとても大切になってくるように思うのです。都市計画に合わせて本店ビルも建て替えが必要になっています。例えば同じ場所に大きなマンションをどーんと建てることもできるでしょうけど、それはこの地域の魅力を上げることにつながるのか?といった視点が必要なんです。


大阪中津は立地が良いこともあり、ここ最近多くの人が集まっている。若い人が飲食や物販のお店を始めたりということが起きていますが、お隣の梅田とは違った魅力に多くの人は惹かれていると思うのです。それがこれから梅田と同じような都市開発をしてしまったら、地域の価値が下がる可能性があります。地域とのつながり、地域からの情報があってこそ、地域の価値を落とさない、よいものを作っていけると考えています。



J:一歩前に出てみると違う景色が見える事ってありますよね。先ほどの「二手先」の話と少し相反するようにも思えますが…


N:一歩前に出たからわかった、正にそうなんです。やり始めたから気がつけたんです。今は「地域」メインに完全にシフトしています。これが、今回自分たちでお金かけて場を創るのではなく事務所スペースとして人に貸してしまったりしていたらわからなかっただろうと思います。無計画に行動するのではなく、考えて行動するという事が大切なのであって、後から変えることはむしろよいことと考えています。


西田工業のビジョンとして、「シンカ発展し続け、近畿屈指の優良企業になる」というのを挙げています。「シンカ」の1つは「深化」を意味し、「深く考え行動に移す企業です」と言っています。今回のCreative Quarter Nakatsuに関しては、建て替えが決まっていた事業所のビルの空いているスペースの使い方として、賃貸か?それとも貸し会議室か?など色々考えた結果、シェアオフィスという選択をして行動したのです。考えた上で一歩踏み出したから、またその二手先の「地域とのつながり」という価値が見えたのだと思っています。


経営には終わりはありません。二手先にゴールがあるなら最初に決めてゴールして終わるのでしょうけど、継続していくものは一歩進んだらまだ必ず先があるので、深く考える事が二手先なんだなと思います。


建設業は古い業態で、歴史の中で全く変わっていない部分というのもあります。今の時代に本当に必要な事なのかを丁寧に見極めながら、しくみを作ったり変えていく事が自分の仕事だと考えています。6代目社長である私の仕事は、会社を守るために「変える」こと。変え続けながら守ることを自分の使命だと思っています。


建設業のこれまでと今後

J:建設業は、他の産業に比べて歴史が長く、深いわけですが、今の建設業ってどんなステージにいて、これからどこに行くと考えていますか?


N:大きな過渡期で、それが既に始まっていると感じています。ゼネコンは他産業と比べると造るものも造り方も現場も大きくは変わっていない業界だと思います。これからもやることは変わらないでしょうけど、環境は既に大きく変わっており今後は造るばかりの時代ではありません。

既に一通りのものができているこれからは、新しく造るものよりも、以前に造ったものが問題になってきます。例えばバブル期の建物、修繕積立金不足の分譲マンション、相続による行く先のない住宅などの問題が起こってくるのです。解体するにしても維持するにしてもゼネコンの力が必要になります。また公共的な建物やインフラについても維持メンテが必要です。そういう部分で活躍、貢献の分野があると考えています。


新しくつくる事だけでない事業で売上を上げていける建設業がこれから残っていくのだと思います。


J:建設業界の存在意義って何だと思いますか?


N:「町を守る、暮らしを守る」ことです。インフラ関係も何もかも、ゼネコンなしには暮らしは成り立ちません。東京オリンピックの工事ような目立つ、大きなものをつくる事だけが注目されがちですが、存在意義は暮らしを支えることだと思います。当たり前すぎてなかなか普段は意識されない部分ですけどね。住居や生活道路などはもちろんですが、食品の加工工場、洋服の製造工場や物販店も全てゼネコンが作って実現しています。衣食住全てにおいて暮らしを支えていると自負しています。


J:西田工業では、創業110周年誌をつくっているところだと伺いました。過去を振り返ることは、西田社長にとってどんな意味がありますか?


N:過去のできごとの明確化です。ここまで会社を大きくして、守ってきてくれた先代経営者の功績をきちんと残したいという気持ちがあります。

また、「以前こんなことがあったのだから…(こうするべきだ)」という意見を聞くことがありますが、過去にあったことは経験していないためよく分かりません。それを知っている人がいる内にきちんと事実のみを聞き、形に残すことが大切だと考えています。過去の出来事や判断は、現在とは環境も条件も異なるためそのまま100%活かせるわけではありませんが、形にして引き継いでいくことは経営者としての責任だと思っています。



J:最後に、ジョイワークスにどんな期待をされていますか? 


N:どんな会社でも、人に関わることは非常に重要です。人にどのように接したらいいか、どんなしかけがあれば気持ちよく、やりがいを持って働けるのかについては、どの企業も試行錯誤しています。その仕組みや仕掛け作りを提供して欲しいです。

ジョイワークスさんは、組織作りの会社なので、会社全体を大きく変えることがメインであるとは思いますが、コンテンツの提供により少し試してみてなじむかどうか確かめることもできるような選択肢があればいいなと思います。



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