成果物レビューの難しさ

最終更新: 2019年4月19日

マネージャーがチームメンバー(部下)とディスカッションする機会の中で、私が重視し、かつ自身の行動に注意しているのが、提案書・企画書・報告書などの成果物(文書)レビューです。最近では、パワーポイントを使った美しいビジュアルのプレゼンテーション形式の文書をつくる機会が多いと思うので、今回は、パワーポイントで作成される成果物(文書)を想定して説明します。


私は、成果物レビューの目的は「部下が、より良い成果を出すことができるようになることを通じて、結果として良質の文書が出来上がる」ことだと考えています。


残念ながら、マネージャーによる成果物レビューが、「マネージャーが納得する文書をつくる」ことを目的として行われていたり、単なる「文書の添削」になっているケースを見かけることも少なくありません。


ここで、日常行われている成果物レビューの問題点「なぜ、成果物レビューが難しいか」「なぜ、成果物レビューがうまく機能しないか」についての私の考察を紹介します。


提案書・企画書・報告書などの成果物(文書)を部下が作成し、マネージャーがレビューする際に最も一般的に行われている方法は、

  1. 部下が「たたき台」を作る

  2. マネージャーが「たたき台」をレビューし、部下が修正する、を繰り返す

  3. 上位マネージャーがレビューし、必要に応じて再度修正する

という方法です。


*文書レビューの際に、マネージャーが個別の表現を細かく指摘し、その場で修正の具体的内容を指導するやり方は、典型的なマイクロマネジメント(業務のあらゆる手順を監督し、意志決定の一切を部下に任せない)の様態であることにも留意が必要です。


こうしたレビューの際に頻繁に見られる現象として、

  1. 1ページごとに表現されている内容をレビューし指摘する(個別の表現を細かく指摘し、その場で修正の内容を指導する)進めかたでレビューを開始する。時間が足りないために、初回レビューでは最後までたどり着かない。

  2. 何回目かのレビューで、最後までレビューが進んだ段階で、目的や構成の問題点についての議論が始まり、結果として、大幅なやり直しになる。

  3. 上位マネージャーのレビューによって、(表現レベルではなく)大幅な、やり直しになる。

など、スケジュール・工数に大きな影響を及ぼす手戻りや、やり直しが発生してしまうことがあります。


こうした問題事象の主な原因は、

  1. 部下は、成果物の目的や表現すべき内容を考えて、細部まで作成するのが自分の役割りであるとの責任感から、理解が不十分であっても、独力で、細部までのたたき台を作る。

  2. 場合によっては、「有効と思われる図表等」を駆使して、優れたビジュアルのドキュメント(パワーポイント)をたたき台として準備する。

  3. マネージャーは、細部まで作りこまれた「たたき台」なので、「目的や表現すべき内容を十分に理解して作成されたものである」という前提で、表現のレビューを開始する。

という、誤った思い込みに基づく行動にあるのではないかと思います。


また、こうした典型的なレビュープロセスの場合、十分なレビュー回数と修正時間を確保しようとすると、最初のたたき台を作成する期間が極めて限られたものになります。余裕のある場合で全期間の4分の1程度確保できる程度でしょう。極端な場合には、指示を受けた日にたたき台ができていなければ間に合わない、というスケジュールになる場合もありえます。



典型的なプロセスは上図のようになります。このような条件(わずかな創造的時間)で、当初から「マネージャーのページ毎の表現レビューで仕上げていくことができる」=「一定の品質」を有するたたき台を作成することは、通常の部下にとっては、極めて難しいことです。にもかかわらず、多くのマネージャーは「1ページごとに表現されている内容をレビューし、指摘する進めかた」でレビューを開始してしまうのです。

これが、「スケジュール・工数に大きな影響を及ぼす手戻りや、やり直し」が頻繁に発生してしまう大きな要因であると、私は考えています。


こうした事態を起こさないように、またレビューによって私自身がマイクロマネジメントに陥ってしまわないように、私はレビュープロセスの設計やレビューを実行する際に、特段の注意を払うよう心がけています。


次回は実行しやすいレビュープロセスとして「三段階レビュー」を紹介します。

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