目的の正しい理解へ向けて(その2)

目的の正しい理解や説明を阻害する第二の要因として「目的と手段の混同」をあげることができます。「手段の目的化」と言うほうが的確かもしれません。本来、目的は「何を実現するか」という形で表現されるべきです。「手段の目的化」とは「手段=何を実行するか」を仕事の目的として表現したり、説明したりすることを意味しています。


たとえば、

  • 在庫管理システムの導入

  • タブレット端末の展開

  • 研修へ参加する

  • 対策を検討する

  • ワークショップを実施する

というような説明や指示を行ってしまうことです。


あまりにも日常的に行われているため、これが正しい説明や指示の仕方だと誤解しているマネージャーも多いのではないかと思います。


ここで、「手段の目的化」の弊害を列挙してみます。

  1. 「何を達成すべきか」という本来の目的に対する意識が希薄になってしまう。

  2. 「手段の実行が完了する」ことが、完了基準となるので、 ・何が達成されたかの検証が不十分になる ・目的が達成されたかどうか、判断が容易ではない ・目的の達成がマネージャーにしか判断できない ことになりかねない。

  3. 「手段の実行」の完了を優先し、本来の目的に反する行動や判断をしてしまう。

  4. マネージャー自身が「手段の目的化」に陥っている場合、マネージャーはチーム(部下)に対して「手段=行動」しか指示することができなくなってしまう。

  5. マネージャーが「具体的な行動」のみを指示、命令することで、チーム(部下)が「マネージャーの指示通りに行動するのが私の仕事」と考えてしまう。

  6. チーム(部下)が本来の目的を理解していない状態になるので、マネージャーはチーム(部下)に一切の判断を任せることができないことになる。そのためマネージャーは、いわゆるマイクロマネジメント(業務のあらゆる手順を監督し、意志決定の一切を部下に任せない)を行わざるを得なくなってしまう。

  7. マネージャーがマイクロマネジメントを行うと、チーム(部下)の自主性と責任感が大きく損なわれる。「自らが挑戦し」「成功して」「その成功を認められる」機会が失われてしまう。

上記から読み取れるように、「手段の目的化」を是とすると、マネージャーは「チームに成果をあげさせること」に向けた行動をとることができず、「チーム(部下)を使って成果を上げること」に向けた行動をとらざるを得ないことになります。マイクロマネジメントを指向するマネージャーは、「手段の目的化」を当然の行動としているかもしれません。


*「手段の目的化」と「目的の過度に抽象的な表現」の仕事およびチームに与える弊害は、ほとんど同じです。【目的の正しい理解へ向けて(その1)】も併せてお読みください。


「チームワークが良く」「モチベーションが高く」「人材が育つ」チームを目指し、「チームに成果をあげさせること」を自らの役割として行動するマネージャーは、その具体的な行動の第一歩として、

  • チーム(部下)が「目的を正しく理解」するために、

  • 手段を目的化することなく、

  • 過度に抽象的な表現を避け、

  • 具体的かつ論理的に説明する

ための努力を継続することが大切である。私は、そう信じています。


手段の目的化を避ける手法として、「ODSC」<OはObjectives (目的)、 DはDeliverables (成果物)、 SCは Success Criteria(成功基準)>があります。


これは、仕事の目的を記述する際に、以下の3つの視点で記述するという技法です。


Objectives:実行する手段ではなく、組織・チームとして実現したい事柄、価値、状態

Deliverables:Objectivesを実現するうえで、作成されるべき成果物

Success Criteria:Objectivesが実現できたかどうかを、明確に判断するための基準


*「やること=行動」は記述する必要がないことに留意してください。


詳しい説明は、以下のURLを参照してください。


面倒くさそうですが、「手段の目的化」を避けるうえで、非常に役立つ手法です。


「手段が目的化」していると、DeliverablesとSuccess Criteriaのところに、Objectivesと同じこと、似たようなことを書くことになるので、簡単に気付くことができます。

また、最初に、Objectivesがうまく書けなくても、DeliverablesとSuccess Criteriaをセットで考えている間に、Objectivesも上手に表現できるようになっていきます。


ぜひ実践してみてください。最初は難しいですが、慣れるとすぐにできるようになります。

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