職能の評価とその課題

吉田です。


日立の渡辺薫さんとのリレーブログ、『実務者が語るマネジャーの仕事』の記事として投稿します。


参考:『人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力


「優秀な人がいないんです」


おつきあいのある企業さんを訪問すると、しばしば聞かれる声です。


「優秀である」ということを能力が高いと捉えたとすると、その「能力」とは、どのようなものなのでしょうか。辞書を調べてみると、以下のような記述があります。


  1. 物事を成し遂げることのできる力。「能力を備える」「能力を発揮する」「予知能力」

  2. 法律上、一定の事柄について要求される人の資格。権利能力・行為能力・責任能力など。


仕事の中には、その能力があるとみなす “資格” が必要なものがあります。例えば、一級建築士や、衛生管理者、学校の先生など。辞書の定義の 2 に関しては、資格を取得できているかどうかでみなすことができますので、明瞭に能力評価ができるでしょう。


一方で、資格を持っている人は、皆、能力が高いと言えるでしょうか。


私たちの「感覚」として、資格は持っているけれども、その業務を遂行する能力としては、さらなる向上が必要であると感じることは多いのではないでしょうか。


能力というものの判断基準はとても難しく、また、主観的です。


ある方法で達成できなかったとしても、その人の強みを生かすことで成果に結びつくことも多くあるのも事実です。


他方で、多くの日本企業は、「職能資格制度」という人事制度を導入しています。これは、人の能力によって等級を決め、その等級にしたがって、給与を支払うという仕組みです。高度成長期の日本は、

  1. 労働の質に基づいて評価し、給与を統一的に昇給していくこと

  2. 長期的に人を雇用し、また育成していくこと


の2点によって、産業の発展を支えていきました。この発展を支える仕組みとしての職能資格制度は、とても効果的に機能していました。


ところが、時代は、大きく変わり、


  1. 右肩あがりの経済状況

  2. 終身雇用

  3. 長く同じ会社で経験を積むことで能力が向上する


という、3つの前提が崩れたことで、現在では、職能資格制度がうまく機能しないことが多くあります。


では、「優秀さ」、「能力が高い」といったことを除外したら、何を評価し、また、どのようにその人の活躍の場を決めていけば良いのでしょうか。


チームのマネジャーが今後、チームメンバーの持てる能力を存分に発揮してもらいながら、マネジメントを進めていくことに立脚して考えれば、次の2点に着目することが非常に重要かと思います。


  1. その人の学習意欲、成長したいと感じていること

  2. その人の強み、行動特性


本人が学びたい、この点に関して成長したいと願っていることが何かということを把握すること。これは、何かの資格を取るとか、特定のスキルを伸ばすということももちろんありますが、資格やスキルでは表現しにくいような抽象度の高いものもあるでしょう。人は誰でも、自分の仕事で成果をあげたいと感じているものです。より大きな成果をチームが達成していくために、その人はどのような学習を必要としているかを掴んでいくことも、マネジャーの仕事の1つと言えるでしょう。


また、強みとは、努力して伸ばすものではなく、その人が普通にできてしまうこと、苦もなく達成できてしまうことです。だからこそ、本人はそれが強みであるとは認知できていないことが多いもので、マネジャーが強みに言及し、それを生かす方向性を仕事の中で考えていくことも重要です。


マネジャーがこの2つに着目し、部下を支援していくことで「熱意」が仕事に向けられ、「考え方」も磨かれていくことでしょう。その結果は、自ずと能力開発にも結びついていくはずです。

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