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執筆者の写真田口光彦

高生産企業に転換するため⑦:ムラの排除

ムラとは“仕事上で発生するバラツキ”をいいます。

バラツキは、人によるバラツキ、場所や時間によるバラツキ、作業環境の違いによるバラツキなど、色々な場面で発生します。


仕事のバラツキをなくすためには、仕事の標準化とメンバーのスキルアップ(トレーニング)に取り組む必要があることを、本シリーズの4回目で述べました。

標準化を正しく行えば、その後のトレーニングもスムーズに行うことが可能となります。

トレーニングを前提にした標準化を行うことが大切です。


ISOの普及により、仕事のプロセスを見える化することが進みました。

しかし、仕事を教えるためには、プロセスだけでなく“急所やコツ”を合わせて教えることが大切です。

仕事の標準化を行う際に、プロセスの見える化と急所やコツの言語化も合わせて行います。

急所やコツの理由も添えることでトレーニングをスムーズに行うことができます。


必要なスキルをトレーニングする際に活用したいのが、

日本の戦後の成長を支えた代表的教育の TWI(Training Within Industry)です。

TWI は、以下の 3 つのモジュールで構成されています。

   ①仕事の教え方(Job Instruction)=TWI-JI

   ②改善のしかた(Job Methods)=TWI-JM

   ③人の扱い方(Job Relation)=TWI-JR


TWI-JI における教え方の根底にある考え方は、“相手が覚えていないのは自分が教えなかった” であり、

この信条を受け入れることで大半の問題は解決するのではないでしょうか。


正しい仕事の教え方は、以下の4 段階で行います。

まさしく人材育成で有名な“やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は育たず ”そのものです。


第 1 段階:習う準備をさせる

  ①気楽にさせる

  ②何の作業をやるかを話す

  ③その作業について何を知っているかを確かめる

  ④作業を覚えたい気持ちにさせる

  ⑤正しい位置につかせる


第 2 段階:作業を説明する

  ①主なステップを一つずつ言って聞かせ、やって見せ、かいて見せる

  ②もう一度やりながら急所を強調する

  ③主なステップごとに急所の理由を言いながらもう一度やって見せる

   ※はっきりと、ぬかりなく、根気よく。しかし、一度に覚えられる能力以上に強いない


第 3 段階:やらせてみる

  ①やらせてみて、間違いを直す

  ②もう一度やらせながら、一つずつ主なステップを言わせる

  ③もう一度やらせながら、一つずつ急所を言わせる

  ④もう一度やらせながら、急所ごとにその理由を言わせる

   ※よくわかったかを確かめる、相手がわかったと自分がわかるまで繰り返す


第 4 段階:教えた後を見る

  ①仕事につかせる

  ②わからぬときに聞く人を決めておく

  ③たびたび調べる

  ④質問するように仕向ける

  ⑤だんだん指導を減らしていく


そして『TWI 実践ワークブック』(注)では、忙しさからよくありがちな「やって見せるだけ」     「言って聞かせるだけ」の不完全な教え方に警鐘を鳴らしています。


 

(注)参考文献:『改善が生きる、明るい楽しい職場を築く TWI 実践ワークブック』

        パトリック・グラウプ、ロバート・ロナ(著) 成沢俊子(訳) 日本工業新聞社

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