組織開発とは⑪:3大理論の概要
- 田口光彦
- 2021年4月12日
- 読了時間: 2分
⒈カール・ワイクの「センスメイキング理論」[1]
センスメイキング理論は、多様な解釈の中から特定のものを選別し、それを意味づけ、周囲にそれを理解させ、納得・腹落ち(sensemaking)してもらい、組織全体での解釈の方向性を揃えること。
特定の方向に進み、行動して試行錯誤を重ね、もがいていく間に、やがて納得できるストーリーが出てきて、そのストーリーに腹落ちしながら、さらに前進する。センスメイキングのコンセプトに、大まかな意思・方向性を持ち、それを信じて進むことで、客観的に見れば起きえないはずのことを起こす力が、人にはある。
⒉チャールズ・A・オライリー教授とマイケル・L・タッシュマン教授の「知の探索と知の深化」[2]
イノベーションのジレンマを乗り越えるための戦略が、両利きの経営。企業活動における両利きは、主に「知の探索(Exploration)」と「知の深化(Exploitation)」という活動がバランスよく高次元で取れていることをいう。
企業は必然的に、事業を安定化させようとする「深化」の行動をとるようになり、「自分たちのやっている事は正しい」と認識すると、自分の認知している世界に疑念を持たなくなり、そこから抜け出さなる。
「知の深化」に偏って、結局はイノベーションが起こらなくなる状態をサクセストラップ(成功の罠)という。
「深化」と「探索」のそれぞれに見合った「組織の整合性」が求められる。
⒊野中郁次郎の「SECIモデル」[3]
SECIモデルの根幹は、組織内における個人と個人や多くの人たちの間で、暗黙知と形式知のダイナミックな相互作用が行われ、そのプロセスで知が創造されるという理論。
· 「共同化」(Socialization)は、個人が他人との直接対面による共感や、環境との相互作用を通じて暗黙知を獲得する(暗黙知 ⇨ 暗黙知)
· 「表出化」(Externalization)は、個人間の暗黙知を対話・思索・メタファーなどを通じて、概念や図像、仮説などを作り、集団の形式に転換する(暗黙知 ⇨ 形式知)
· 「連結化」(Combination)は、集団レベルの形式知を組み合わせて、物語や理論を体系化する(形式知 ⇨ 形式知)
「内面化」(Internalization)は、組織レベルの形式知を実践し、成果として新たな価値を生み出すとともに、新たな暗黙知として個人・集団・組織レベルのノウハウとして体得する(形式知 ⇨ 暗黙知)
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