ポストコロナ時代を見据えてマネジャーのあり方を考える⑥:オフィスで働く価値

更新日:8月8日

今回もDHBRの論文を参考にしてポストコロナ時代を見据えたマネジメントのあり方を模索してみたい。


第1の論点は、オフィスを「人間関係の拠点」に変えていく必要性である。[1]

リモートワークによって、問題解決のための短時間の会議が増えたことがわかった。

その理由は、「聞きたいことがあっても、誰かのところにふらりと立ち寄ることができない」「誰かのデスクまでぶらぶらと足を延ばすとか、食堂でコーヒーを飲みながら誰かと話すとか、そういうことができない」からだそうだ。

リモートワークを強いられた新入社員や中途採用者は、“この組織での適切な振る舞い方(「うちではこういうやり方をしている」)”を学び機会が少なくなったようだ。

このような暗黙知は、職場で先輩や上司のやり方を観察して学んでいくものである。

「正式な会議とは違う場所で、差し向かいで行われる会話」が新しい価値を生む機会になることもわかっている。

ポストコロナ時代のオフィスは、生産性と創造性を両立させる施策が求められる。

社員が業務内容に応じて時間や場所や相手を最適化できる働き方戦略である「アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)」といったオフィスの設計思想も提唱されている[2]

一人で集中する個人作業や一人でWEB会議に参加できる場、二人もしくは三人で取り組む作業の場、三人以上で情報共有・知識創造を行う場などのオフィス環境が提供される。

オフィスとリモトーワークの併用型の働き方である「ハイブリッドな職場」が標準になるだろう。

ここからもマネジメントのあり方が大きく変わることわかる。


近い将来に社員の46%がハイブリットの働き方になると予測される中で、マネジャーの役割の再定義も必要である。[3]

アメリカにおけるかつてのマネジャーへの対する期待は、特定のタスクを遂行できたできる社員のパフォーマンスを管理・評価することであった。

しかし、ここ5年ほどの間に、HR部門の幹部は優れたコーチや教師の役割を担いるマネジャーを採用し、育成するようになっている。

このような環境の中でコロナ禍に遭遇し、マネジメントに大きな影響を与えたのが以下の3点である。

① リモートワークの常態化:マネジャーは従業員の日々の実態を視認することが極めて困難になり、成果を重視するようになる

② 従業員を管理するテクノロジーの利用が加速:テクノロジーがマネジャーのタスクを代替することが可能だ(2024年までに仕事の割り当てや生産性の推進など、マネジャーが従来行ってきた業務の69%を新しいテクノロジーが代替する可能性がある)

③ 従業員の期待の変化:知的労働者は、マネジャーが従業員体験だけでなく、人生の体験を向上させるサポートシステムの一部を担うことを期待している


HR部門のリーダーの85%は、パンデミック以前よりもマネジャーが共感を示すことの重要性が増したと回答している。

共感性が高いマネジャーは低いマネジャーと比べ、従業員のパフォーマンスに3倍の影響を与えることもわかっている。

共感性の高いマネジメントを行っている組織の社員は、自分の職場環境がインクルーシブ(包摂的)であると答えた割合が2倍以上である。

ここからもわかる通り、マネジャーが自分の仕事に優先順位をつけ、個人やチームとの関係性に集中できるようになることが求められている。

[1] DHBR誌2021年8月号『効率優先の場からつながりの場を重視する場へ〜これからのオフィスの価値をデザインする』アン=ロール・ファヤール他[著]倉田幸信[訳]を参考に記述 [2] ABWは1990年台にオランダのコンサルティング会社ヴェルデホーエンによって提唱された概念 [3] DHBR誌2021年8月号『ハイブリットの環境で共感力を身に付ける方法』ブライアン・クロップ他[著]前田雅子[訳]を参考に記述

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